第17章 余計な誤解を招きやすい

綾部栞は、伊沢赤司が病室で父と一緒に食事をしようなどと言い出すとは思っていなかった。

理解できないという顔で、栞は伊沢赤司を見た。

伊沢赤司はいつもと変わらぬ表情のまま彼女を一瞥し、穏やかな声で言う。

「栞、今日は他に予定ないだろ?」

その言葉に、綾部栞はわずかに動きを止めた。なぜだか、最初から彼がこうなるよう仕組んでいた気がしてしまう。

栞は胸の奥でそっと息を沈める。綾部グループにあの騒ぎが起きてから、父の顔にこんなに晴れやかな色が浮かぶのは久しぶりだった。

だからこそ、父の機嫌に水を差すのが忍びない。

「……ないよ」

口元だけで笑みを作り、平静を装う。

伊沢赤司は細長い...

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