第20章 これから坂口城の電話に出るな

伊沢赤司がひややかな視線をひとつ飛ばすと、加賀峰は口をつぐんだ。

ほどなくして、佐野小雪が化粧室から出てくる。傍らでは付き添いの介助者が、おそるおそるその身体を支えていた。

伊沢赤司の顔色が冴えないのを見て、介助者はあわてて弁明しようとしたが――

「君は明日から来なくていい」

男の声は冷えきっていて、感情の欠片もなかった。

介助者はその場で固まる。

佐野小雪がすぐにかばうように口を開いた。

「この人、ちゃんとお世話してくれてるの。赤司、怒らないで。さっきも謝ってくれたし……ただ電話を取りに行ってただけで――」

言い終える前に、伊沢赤司は険しい顔のまま目を伏せ、腕時計へ視線を落...

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