第37章 これが伊沢社長の初恋? たいしたことないじゃないか

林田は伊沢赤司の感情が読めず、探るような目で数秒じっと見つめた。

「若様、若奥様をお迎えに行かないおつもりですか」

伊沢赤司は淡い眼差しのまま答える。

「数日向こうに泊まるだけだって言ってただろ」

林田はひとつ息を呑み、焦りを隠せない顔になる。

「若様。ここ最近、若様と若奥様はずっと折り合いが悪いままです。綾部若社長のところで何日か過ごして気持ちが落ち着いたら……もう戻る気がなくなるかもしれません。それでも、気になさらないんですか」

伊沢赤司の動きが、ふっと止まった。

数秒置いて、机の上の煙草ケースに手を伸ばす。一本抜き取り、俯いたまま火を点けた。

「気にしない」

感情のな...

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