第40章 彼女が伊沢社長の妻なのか?

綾部栞は伊沢婆さんと二言三言だけ言葉を交わし、通話を切った。

綾部玉季はこのところ立て込んでいて、まだ退勤していない。

夕食の支度を終えると、栞は玉季に電話をかけた。

呼び出し音が玄関のほうで鳴る。栞はスマホをしまい、ダイニングを出た。ちょうどそこへ、玉季が玄関で靴を脱いでいるところだった。

手には書類袋。部屋に上がるなり、それを栞へ差し出す。

「会社の弁護士が作った離婚協議書よ」

「目を通して、追加したい条項があるなら言って」

栞は受け取り、書類袋を開いて中身を取り出した。

条文は驚くほど行き届いている。中でも、財産分与の欄に記された「400億」という数字が、栞の視線を強く...

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