第63章 肝心な時に彼はけっこう頼りになる

立花芳南もネットの騒ぎは多少耳にしていて、腹立ちまぎれに太田を二、三言ののしった。

病院に来てまだ数日だというのに、よくもまあ、あそこまで大事を起こしたものだ。

立花芳南が綾部栞を見つけたとき、栞はロッカーの前で私物をまとめていた。

芳南は近づき、ぽつりと感心したように言う。

「伊沢社長、いざって時はやっぱり頼りになるよね」

それから、声をぐっと落とした。

「このところ病院にしょっちゅう来てたのも、たぶん栞に会いたかったんでしょ。……離婚、やめたら?」

綾部栞は眉をわずかに上げ、淡々と返す。

「離婚届、もう出したから」

立花芳南は目を見開いた。

「え、伊沢社長もサインした...

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