第64章 離婚に成功する

綾部栞は小さくうなずいた。

「うん」

「連絡は来た。でも、もうブロックした」

あの件が起きた当日の夜、太田から謝罪のメッセージが届いた。頭に血が上って、彼女への仕返しにあのチャット履歴を捏造したのだと。ここまで大事になるなんて思っていなかった、とも。

長文だった。要するに――自分が悪かった、という内容。

綾部栞はそれを読んだあと、太田をブロックした。番号も、関連する連絡先も、まとめて全部。

その後どう転んだのかは、わざわざ追わなかった。

眉目の柔らかな顔で淡々と語る彼女を見て、伊沢赤司の胸の奥が詰まる。誰かが言っていた言葉がふいに蘇った。綾部栞は優しそうに見えて、内側は冷たい―...

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