第72章 いつ伊沢赤司と結婚したんだ?

佐野小雪は遠目に伊沢赤司たちの姿を捉えると、タクシーを降りるなり早足でこちらへ向かった。

綾部玉季が伊沢赤司に何か二言三言、耳打ちしたらしい。伊沢赤司は小雪のほうをちらりと一瞥しただけで、そのまま病院の中へ入っていく。

一方の綾部玉季は、病院の入口に嘲るような顔で立ち、小雪を待ち構えているようだった。

佐野小雪は小さく息を沈め、歩み寄る。

胸の奥の悔しさと苛立ちを、歯を食いしばって押し込めた。

「綾部社長。綾部先生に、直接お詫びをさせてください」

「さっきは私が軽率でした。自分の非は分かっています。もう一度だけ、チャンスをいただけませんか。今後は必ず、任された仕事を最後まで責任を...

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