第73章 綾部栞には到底及ばない

綾部栞が綾部家へ戻ったのは、夕食を終えてしばらく経ってからだった。リビングで少し休んだだけで、ふっと倦怠が押し寄せる。太田のおばさんが慌てて肩を貸し、二階の寝室まで連れていった。

ベッドに横たわる栞の足首は、見るからに腫れている。太田のおばさんはその様子に胸が締めつけられた。

しかも栞は妊娠中だ。血行を促す湿布や薬は使えない。できるのは氷で冷やして痛みを紛らわせる程度で、本人にとっては堪えるに違いない。

「しばらくは、次女様は外へ出ないほうがよろしいですよ。明日、青蓮寺へお参りして、御祈祷していただきましょう。綾部家に潜んでいる邪気でも祓ってもらえたら……」

このところ、綾部家は確か...

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