第75章 彼は離婚したことを後悔した

坂東補佐に返信を返すと、伊沢赤司はスマホを懐へしまった。

佐野小雪は、彼が何の反応も示さないのを見て、さらに言い添える。

「私、そんなことする必要……まったくないです」

唇の端を軽く噛み、無垢を装った表情。あまりにも殊勝で、あまりにも可憐。

それが、伊沢婆さんの癇に障った。

これ以上、佐野小雪と押し問答をする気もないのか、鼻で笑って言い捨てる。

「お前がやったかどうかなんて、お前が一番分かってるだろうよ」

佐野小雪は目を赤くして首を振り、必死に否定した。

伊沢婆さんは冷えた視線を一度だけ投げ、伊沢赤司へと顔を向ける。

「栞が怪我した件、お前は綾部家へ詫びに行ったのかい?」

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