第77章 本当に名残惜しいなら、謝りに行け

佐野小雪は緊張した面持ちで彼を見つめ、問いかけた瞬間に後悔した。

顔が強張る。伊沢赤司が答えるより早く、彼女は手を放した。

伊沢赤司は冷え切った表情のまま、彼女の脇をすり抜けていく。薄情で、容赦がない。

佐野小雪は身体をこわばらせたまま立ち尽くし、落胆と焦りが入り混じった顔をした。追いかけたい。けれど、足が出ない。

赤く滲んだ瞳に、涙が今にもこぼれそうだった。

北条清森は彼女をちらりと一瞥し、伊沢赤司の後を追って去る。

布川陸も五島文士も、何事もなかったかのように佐野小雪の横を通り過ぎた。

加賀峰は席に座ったまま、脇の煙草ケースから一本抜き取って火を点ける。煙草を唇の端にくわえ...

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