第79章 綾部栞に対処するにはより慎重でなければならない

綾部栞の寝室のドアは、半分だけ開いていた。

伊沢赤司はそこを数秒見つめ、結局、足を向けた。

ドアの前で立ち止まる。

部屋の中から、太田おばさんと綾部栞の話し声が漏れてきた。

「次女様、足首……また少し腫れてきてますね」

「伊沢さんも、どういうつもりなんでしょう。昔はあんなに冷たかったのに、今さら離れがたいみたいで……さっぱり分かりません」

綾部栞は唇を結び、かすかに笑うように答えた。

「離れがたいなんて、そんなことないよ。たぶん、罪悪感と同情……それだけ。だってこの結婚で、私、何も悪いことしてないもの」

眠気を含んだ、細い声。

「それに、お婆さんのこともあるから。だから仕方...

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