第82章 もう離婚したのに、嫉妬する資格はない

太田おばさんは、すでに綾部栞の足に湿布をきちんと当て終えていた。

栞は自分の足首を一瞥すると、すっと足を引き、立ち上がって二階へ向かう。

太田おばさんはそれを見て、すぐさま恐る恐る彼女の身体を支えながら階段を上がった。

綾部栞と綾部玉季の通話は、まだ続いている。

伊沢赤司は栞の背中をじっと見つめ、彼女の姿が廊下の曲がり角に消えるまで目を離さなかった。

その間、栞は一度も振り返らない。彼に視線をくれるどころか、気配すら返さない。

伊沢赤司の胸に、ちくりとした挫折感が刺さった。

綾部父は薬を飲み終えるとソファへ腰を下ろす。

二人でしばらく雑談を交わし、伊沢赤司はようやく綾部家を後...

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