第83章 離婚しても彼女を放さない

佐野小雪は、少し離れた場所に立っていた。

HCに来れば、伊沢赤司と顔を合わせる機会も増える――そう思っていたのに、現実は逆だった。伊沢赤司がHCに姿を見せることはほとんどなく、こちらの案件はすべて坂東補佐に任されている。

今日はHCの周年記念パーティー。多数のメディアも招かれている。

その招待枠の中に、彼女の友人の名もあった。

平井思晴が会場に入ってきた瞬間、佐野小雪の目がわずかに見開かれる。驚きと、そして怯え。

「……どうして、来たの?」

小雪の緊張を見て取ったのか、平井思晴はふっと笑って、声を落とした。

「うちの編集長がHCから招待をもらったんだけど、今日は来られなくて。代...

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