第84章 離婚後、彼らの関係はかえってばれだ

伊沢赤司の瞳がふっと深く沈む。彼は栞の腰を掴み、そのまま壁へ押しつけた。逃げ場を奪うように身を屈め、唇を塞ぐ。

綾部栞は表情を強張らせ、数秒、呆けたように固まった。だが次の瞬間、はっと我に返って身をよじる。

「……っ!」

伊沢赤司が、そんな抵抗を許すはずがない。唇を捉えたまま逃がさず、息の隙間さえ与えない。

栞は眉を寄せ、脚を上げて蹴りを入れようとする。けれど男は、その動きを読んでいた。彼女が脚を上げた隙に、長い脚をすっと差し込み、腿の内側へ強引に押し当てる。

身動きが取れない。

栞は拳で彼の胸を叩いた。けれど、腹に響くのが怖くて、力を込めきれない。

もがけばもがくほど呼吸が乱...

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