第87章 不機嫌

佐野小雪は顔面蒼白のまま、テーブルクロスを握り締めた手がかすかに震えていた。

唇をきつく噛み、俯いた横顔には、どうしようもない無力感だけが滲む。

木下輔佐はその落ちぶれた様子を見て、冷たく鼻で笑った。そして解雇通知を彼女の手にねじ込む。

「佐野嬢には明日の朝いちでHCへ来ていただき、私物を引き取ってください。それと、これまでの給与の精算も」

佐野小雪は解雇通知を握り潰す勢いで掴んだ。指先が白くなるほど力を込め、かろうじて答える。

「……はい」

木下輔佐は彼女から視線を外す。

「宴はもうお開きです。佐野嬢も早くお引き取りください」

佐野小雪は胸の内と身体の不調を押し殺し、足を踏...

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