第88章 伊沢赤司は全身がとてもリラックスしている

綾部父はすでに薬を飲み終え、盤上の駒を引き出しへ戻したところだった。

綾部栞が部屋に入ってきて、父にひと言挨拶すると、そのまま二階へ上がっていく。

綾部父も寝室へ戻ろうとして――玄関から伊沢赤司が入ってくるのが見えた。

少し前、綾部玉季がF国へ渡っていた間、綾部グループの揉め事は伊沢赤司に助けられた部分が大きい。

このところの伊沢赤司の綾部栞への態度もあって、綾部父の胸に残っていたわだかまりも、だいぶ薄れていた。

「ネットの件は、片づいたのか」

そう尋ねると、伊沢赤司は小さくうなずいた。

「はい。処理は済みました。相手は謝罪文を出しましたが、こちらは提訴します」

「そうだな。...

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