第91章 伊沢赤司の綾部栞への注目度

佐野小雪は話しながら手を伸ばし、赤尾婆様の手にあった菜籠をひょいと奪うように受け取った。

赤尾婆様は一瞬反応が遅れ、思わず手を離してしまう。

綾部栞は黙々と葉物をひとつかみ摘んだ。

小雪はすかさず籠を差し出す。

「綾部先生、籠に入れてください」

栞は摘んだ菜を籠へ落とし、また俯いて摘み続ける。隣に誰が立っていようと、まるで無関係だと言わんばかりに。

その様子を見た赤尾婆様は、すぐに小雪の手元へ手を伸ばした。

「休まなきゃいけないのはあんたのほうよ。術後、ろくに休んでないって聞いたわ。若いからって身体を粗末にしちゃだめ」

小雪は籠をぎゅっと抱え込むように握ったまま、顔には柔らか...

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