第95章 綾部栞は彼をブロックした

伊沢赤司の端正で冷ややかな顔に、露骨な不機嫌さが滲んでいた。

太田穂は、ここに居座ろうと思えば居座れるのに、さすがにそれは気まずいのだろう。そっとドアを開け、身をかがめて車に乗り込む。去り際、伊沢赤司を気遣うように一度だけ視線を投げた。

その目つきを見て、綾部栞は眉をわずかに上げ、伊沢赤司へ視線を向ける。

「あなた、佐野嬢と先に行ったら? あの子、心配しそうだし」

「俺はここで坂東補佐を待つ」

綾部栞の言葉を聞いた佐野小雪は、表情を一瞬だけ固め、すぐに言い返した。

「ううん、赤司はここに残って、栞さんと一緒にいてあげて」

「この辺、人通り少ないし。もし何かあったら……綾部家が赤...

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