第10章 宴席での不祥事

霧島絢香は深く息を吸い込み、胸の鈍い痛みを押し込めた。

今日は九条未晴の誕生日の宴。九条家の年長者が一堂に会する場だというのに――雅人は桜井陽菜まで連れてきたのか。

しかも陽菜は、誰の目にも華やかで、あまりにも目立つ装いだった。

九条美幸が鼻を鳴らし、顔から温和な笑みをすっと消す。

「雅人。あんた、礼儀ってものを忘れたのかい!」

「その女が九条家の敷居をまたぐ? 連れて出な!」

隣で、桜井陽菜の上品な笑みがぴたりと固まった。

――この九条美幸、ここまで面子を潰しにくるなんて。

陽菜はまつげを伏せる。濃く長い睫毛の先に、いまにも落ちそうな涙を宿しながら、九条雅人を見上げた。声は...

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