第105章 時間がないとはどういうことだ

九条雅人がさっき向けてきた視線を思い出すだけで、胸の奥がずしりと重くなる。

もう二度と、あの男と関わりたくない。

なのに――どうしてこう、何度も何度も現れるの。

……もういい。

霧島絢香は小さく息を吐き、余計なことは考えないことにした。

いま一番大事なのは、娘を早く元気にすること。

それ以外は、あとでいい。

そして――夜が明けた。

霧島英昭が人を寄こして様子を見に来た以外は、拍子抜けするほど静かな時間が流れた。

絢香は家の者にタブレットとデザイン画一式を病室へ運ばせ、初音の世話をしながら会社の仕事も片づけていく。

ぶぶっ――

初音に食事を食べさせ終えたところで、スマホが...

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