第11章 祖母の遺品が壊される

全身の血が、その瞬間に凍りついた気がした。

九条雅人の瞳に宿る猜疑は刃物みたいで、一本一本、彼女の心を削っていく。

霧島絢香は口を開きかけた。説明しなきゃ、と。

けれど喉元まで押し上げた言葉は、ことごとく冷えた沈黙に変わってしまう。

「……なんで黙ってる」

九条雅人が一歩、前へ。すらりとした長身が迫り、空気が重くなる。声はさらに冷えた。

「絢香、前にも言ったはずだ。この立場にいるなら大人しく——」

「九条雅人!」

鋭い叱責が、部屋を切り裂いた。

九条美幸が杖をつきながら室内から出てくる。ようやく顔色が戻りかけたところなのに、目には怒りが燃えていた。彼女は霧島絢香の腕を引き、...

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