第116章 一分の隙もないはず

桜井陽菜はまるで気づいていないふりをしたまま、今度は真面目な顔で考え込む。

「時間を逆算すると……確かに辻褄が合うわね。じゃあ、この子の実の父親は誠治さんってこと? だからずっと公表しなかったのね。みんなにサプライズしたかったんでしょ?」

そう言い終えると、桜井陽菜は上品に微笑んだ。

――さあ、霧島絢香と桜井誠治、どう出る?

認めるなら、子どもは桜井誠治の子。今後も責任を取るしかない。九条雅人とは一切関係がなくなる。

認めないなら、霧島絢香は「父親不明の子を産んだ女」として、私生児だと決めつけられる。

どちらを選んでも、霧島絢香が得をする道はない。

桜井陽菜は唇の端を、ほんのわ...

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