第118章 踏みとどまる

九条雅人は耳を貸さず、強引に彼女の腕を掴んだまま地下駐車場へ引きずっていった。

霧島絢香はよろめきながら数歩踏み出し、声を荒らげる。

「九条雅人、放して!」

後ろから追いすがろうとした桜井誠治は、左右から飛び出したボディガードにあっさり押さえ込まれた。

「桜井さん、身の程をわきまえてください。桜井グループを守りたいなら、これ以上は近づかないことです」

桜井誠治の顔がすっと険しくなる。体の脇に下げた拳が、ぎり、と音を立てそうなほど固く握り締められた。

一方――。

霧島絢香は罵るのにも疲れ、息を吐きながら言い放つ。

「ここは公共の場所よ。監視カメラだってそこら中にある。通報して、...

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