第119章 おじさんを家に招いて住まわせる

霧島絢香は一瞬きょとんとし、すぐに眉をつり上げた。

「意外。あんた、けっこう忍耐強いんだね」

まさか自分で、桜井陽菜の子どもを迎えに行くなんて。

……ふん、まあいい。

どうせついでだし、ここはタクシーも捕まえにくい。初音のお迎えにさえ間に合えば、それでいい。

道中、二人はそれ以上言葉を交わさなかった。

車は滑るように地下駐車場を出ていく。車内を満たすのは、エンジンのかすかな唸りだけ。

絢香は終始、窓の外に視線を投げたまま、話しかける気配すら見せない。

頭の中には、幼稚園でひとり待つ初音の姿ばかりが浮かんでいた。

そのとき、スマホがまた鳴った。

画面に表示された名前を見て、...

ログインして続きを読む