第127章 彼女を噛んでどうする?

今度は霧島絢香のほうが黙り込んだ。

「はぁ……」

額に手を当て、力なく息をつく。

どうして忘れていたんだろう。

九条雅人は生まれてこのかた、身の回りのことを自分でやったことがない。

服は出せば着られる、飯は出せば食える。

家事なんて、触ったことすらない男だ。

――片づけてきたのは、いつだって自分。

霧島絢香は観念して、ベッドシーツを彼に押しつけた。

「そこ、端っこ持って。私がこっち引くから、半分に折るの」

「……分かった」

男は素直に前へ出て、シーツの角をつまむ。ぎこちない手つきで、彼女の動きに合わせて引っ張ったり、たたんだり。

普段、商談の場で容赦なく切り捨てる九条...

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