第129章 当時のデザイン

母のため息が背中に落ちても、霧島絢香は振り返らなかった。

そのまま階段を上がる。

カチャリ。

かすかな音とともに、子ども部屋の扉が開いた。

霧島絢香はベッドの縁に腰を下ろし、娘の髪を指先でそっと梳いた。胸の奥に溜まっていた苛立ちも疲れも、その柔らかさに触れた瞬間、すうっとほどけていく。

「ママの宝物。あなたは元気に大きくなってくれれば、それだけでいいの」

額に軽くキスを落とし、起こさないよう息まで忍ばせて、自分の寝室へ戻った。

彼女の寝室は、幼い頃から霧島家の別荘でいちばん陽当たりがいい部屋だった。

ここには、少女の頃の夢も、淡い憧れも、全部が詰まっている。

ふと、霧島絢香...

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