第131章 帰宅の意外

彼女の冷淡さは、針のように九条雅人の胸を刺した。

けれど彼は怒らなかった。

むしろ一歩踏み出し、手を伸ばして彼女の手首を掴もうとする。

霧島絢香は反射的に身を引き、触れられる前に避けた。

「いい加減にして。おばあさまがいるんだから」

九条雅人の手が宙で止まり、瞳の奥に翳りが走る。

「まだ怒ってるのは分かってる。でも、言わなきゃいけないことがある。俺は桜井陽菜とはとっくに線を引いた。婚約パーティーだって、年上たちが勝手に決めただけで、俺は同意してない。すぐに婚約も解消する。きっぱり縁を切る。だから……もう俺を突き放すな、な?」

熱を帯びた、執着の滲む視線が、絢香を逃がさない。

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