第139章 あの頃のこと

霧島絢香は視線を逸らし、波ひとつない声で言い放った。

「放っておいて。待ちたいなら、勝手に待たせとけばいい」

キッチンから出てきた霧島雪乃が、ふう、と小さく息を吐く。

「絢香……でもね、今回の件は九条雅人さんが本当に助けてくれたのよ。ネットの騒ぎだって、半分は九条グループが抑えたって聞いたわ。……入れてあげたら? 礼儀として」

霧島英昭も頷いた。

「母さんの言う通りだ。向こうも善意で動いてくれたんだし、あまり冷たくするのもな」

「必要ない」

霧島絢香はきっぱり遮った。取りつく島もない。

「私とあの人は、とっくに終わってる。助けたくて助けたなら、それは勝手にしただけ。止めようが...

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