第140章 死生相まみえず

男は霧島絢香の腰を死ぬほど強く掴み、ほとんど乱暴と言っていい力で引き寄せた。

絢香が反応する間もなく、長い腕が伸び、彼女の身体はそのまま胸の中へ押し込められる。

「……聞いてくれ。説明させて。な?」

掠れた声。いつもの冷たさも硬さも、影も形もない。

九条雅人は顎を彼女の頭頂に押し当てた。

そして――腰に当たる、硬い感触。

霧島絢香は全身が凍りついた。次の瞬間、羞恥と怒りが一気に噴き上がる。

「九条雅人……最低。こんな時に発情してんじゃない! この状況で硬くなるとか、ほんとクズ!」

必死に身をよじる。けれど、びくともしない。

むしろ九条雅人の腕はさらに締まった。少しでも緩めた...

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