第148章 霧島家で事件が起きた

霧島絢香は手にしていたナイフとフォークをそっと骨皿に置き、顔を上げた。すると、テーブル脇に桜井誠治が立っている。

「誠治さん?」

きっちりとしたスーツ姿。どう見ても、商談を終えたばかりだ。

初音もすぐに気づいて、ぱっと笑顔になる。

「おじさん!」

「初音は本当にいい子だな」

桜井誠治は口元をやわらかくほどかせると、膝をついて初音と目線を合わせた。

「今日はママとお出かけ、楽しかったか? 好きな遊び、できた?」

終始、気にかけるのは初音のことばかり。声も、指先の動きも、驚くほど穏やかだった。

「たのしかった!」

絢香もくすっと笑って言う。

「誠治さん、今お仕事終わったとこ...

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