第149章 誰かにハメられた

霧島英昭は娘を見つめ、口を開きかけては言葉を飲み込んだ。長い沈黙のあと、重たい溜息が落ちる。

「……座れ」

霧島絢香は父の向かいに腰を下ろした。

「お父さん、早く言って。会社がまずいの? それとも、別のこと?」

彼女に思い当たるのは、霧島家の会社しかない。

それ以外に、父をここまで疲れさせる理由が見つからなかった。

霧島英昭は眉間を押さえ、もう一度深く息を吐く。

「会社だ。霧島グループのいくつかの案件が、急に……悪意のある形で叩かれ始めた。株も荒れて資金繰りが一気にきつくなった。複数の取引資金が凍結されて、契約も二件、向こうから切られた」

言葉を区切るたび、喉の奥が擦れるよう...

ログインして続きを読む