第17章 九条雅人の頬をひっぱたいた

霧島英昭もいる手前、彼女はそれ以上、何も言えなかった。

霧島英昭は霧島絢香の肩を軽く叩き、言い聞かせるように告げる。

「絢香、父さんはもう少し用がある。お前は先に行ってこい。友だちにも挨拶しておけよ」

霧島絢香は無理やり口角を持ち上げた。

「……うん」

隣で浅倉夕菜が、不安を隠せない声を落とす。

「絢香のお父さん……まだ知らないの? いつ話すつもり?」

霧島絢香は黙り込んだ。自分でも分からない。

どうやって両親に切り出せばいい。

あの二人に耐えられるだろうか――。

次々に思考が押し寄せて、胸の奥が重く、息苦しい。

……

夜。

個室の空気は、どこか張りつめていた。

...

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