第22章 いちゃつく姿を誰に見せるのか

「桜井誠治か――」

また、あいつか。

九条雅人は目をすっと細め、舌先で頬の内側を押した。そして次の瞬間、ふっと冷えた笑みを漏らす。

目に見えない剣呑な気配が、社長室いっぱいにじわりと広がった。

机の前に立つ秘書は、ぶるっと肩を震わせる。やはり九条社長の威圧感は並ではない。

霧島絢香が足早に病室へ入ると、九条美幸はベッドの背にもたれたまま、あからさまに不満そうな顔をしていた。

数人の付き添い看護師が脇に控え、盆や栄養補助食品を手にしている。けれど九条美幸は、ひと口たりとも口をつけようとしない。

霧島絢香はひとつ息をつき、そばへ歩み寄った。

「おばあさま、また皆さんを困らせている...

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