第58章 やり方が本当にえげつない

秘書はスマホを握ったまま会議室の前で立ち尽くし、頭の中が真っ白になっていた。

どうしよう。

泣きたい。

社長が出張に出てまだ数日だというのに、奥さまが一方的に離婚の手続きを最後の一歩まで押し進めてしまったのだ。

必要書類はすべて整い、あとは裁判所の判決を受け取るだけ――。

背筋がぞわりと粟立つ。秘書はただ、九条雅人が会議を終えるのを待つしかなかった。

それから三十分後。

扉が開き、九条雅人が姿を現す。纏う空気には、まだ刺々しい苛立ちが残っていた。

執務室に入るなり、彼は眉間を押さえて低く言った。

「向こうはどうだ。何か動きは」

秘書は一歩進み出るが、声が震える。

「しゃ...

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