第65章 ゴシップトレンド

彼女は、内側からにじむような柔らかさを纏っていた。

霧島英昭は娘を見つめ、瞳の奥に痛いほどの愛惜を滲ませる。

「絢香、P市に行く手続きは全部済んだか。便はいつだ?」

霧島絢香は椅子を引いて腰を下ろし、口元に軽い笑みを浮かべた。

「うん、全部。便は明後日。P市に着いたら迎えも来るから、お父さんは心配しないで」

「そうか……」英昭はなおも落ち着かず、同じことを繰り返すように言う。

「いいか、ちゃんと自分を大事にしろ。食事も時間どおりに。無理して我慢なんてするな」

その頃、霧島家の門前に着いた九条雅人は、足を止めた。

明後日――。

こんなに早く、彼女は行ってしまうのか。

花に水...

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