第67章 とうに終わっていた

その一言が落ちた瞬間、桜井誠治の視線が彼女の横顔に吸い寄せられ、表情がわずかに揺れた。

霧島絢香は淡々と言う。

「私と彼は、とっくに終わってる。離婚届にサインしたあの瞬間から、私と九条雅人はただの赤の他人よ。三年の結婚生活で、私が渡すべきものは全部渡した」

桜井誠治は、彼女の瞳に宿る解放感を見て、胸の奥で張り詰めていたものがすっとほどけた。

「絢香。そう思えるなら、俺は嬉しい。君はもっと幸せになっていい」

霧島絢香は笑って、深く息を吸う。

「だからP市に行くの。新しい生活を始めるために」

二人が他愛ない話を続けていると、ふいに霧島絢香のスマホがまた震えた。

画面に踊るのは「夕...

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