第70章 最後の妊婦健診

玄関先には、いくつも箱が積まれていた。

上質な梱包の輸入フルーツ。箱には外国語のロゴが印字され、値段が張るのは一目で分かる。中でも「ローズ&ラズベリー」は、市場でも滅多に見ないハイエンド品だった。

霧島絢香は鼻で笑う。

「……表面だけは立派ね」

桜井誠治も肩をすくめて笑った。

「こういうので存在感を出したいんだろ」

絢香は興味なさげに顎をしゃくる。

「全部、下に運んで。みんなで分けていいよ」

使用人たちはぱっと顔を輝かせた。

「本当ですか、お嬢様! こんな高い輸入フルーツ、それに九条社長から——本当に……」

「持っていって」

絢香は一箱たりとも見たくない、と言わんばかり...

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