第72章 彼女は本当に彼を要らなくなった

夜。

九条グループ傘下の星付きホテル。

宴会場はシャンデリアの光に満ち、業界の名士が一人残らず顔を揃えていた。

外では報道陣がカメラを構え、今にもフラッシュが弾けそうな勢いで詰め寄る。

「九条社長、霧島家として今回のトレンド独占騒動をどうご覧になりますか!」

「ネットの投稿内容は事実なんですか!」

「九条さんと霧島さんはいつ離婚されたんです? なぜ公表しなかったんですか!」

九条雅人の周囲には記者だけでなく、業界の重鎮たちまでが輪を作っていた。

黒のオーダースーツに身を包んだ彼は、背筋がまっすぐ伸び、どんな質問にも余裕の表情で応じている――はずだった。

時折、視線だけが入口...

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