第77章 子供は彼のもの

「わ、私はただ、霧島さんが出て行ったって聞いて……見送りに行こうと思ったんです。でも朝からお腹が痛くて……間に合わなくて。だけど霧島さんが自分で出て行ったんですよね。あの人と雅人さんなんて、もともと気持ちが通ってなかったし……」

その瞬間、九条雅人がふいに顔を上げた。

深い潭の底みたいに、冷え切った眼。

けれど、俯いて泣いている桜井陽菜は気づかない。

「気持ちが通ってない?」九条美幸が鼻で笑う。「あんたの小細工、誰も知らないとでも思ってるの。結婚してる間にわざと挑発して、誰かに頼んで書き込みさせて、噂をでっち上げて――絢香に離婚を言い出させるためでしょう」

言葉を切り、さらに冷たく...

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