第8章 病院で検査を受ける

何か言おうとした。けれど、そんな暇はなかった。

「うっ……――」

霧島絢香は洗面台にしがみつき、胃の中身を吐き出す。視界がぐらぐら揺れ、涙が滲んで、指先は掌に食い込むほど強く握りしめられていた。

九条雅人に、妊娠していることだけは知られちゃいけない。絶対に――。

なのに……

「うっ……――」

また込み上げる。胃がひっくり返るみたいに荒れて、もう抑えが利かない。

どうしよう、どうすれば――。

霧島絢香の瞳に、あからさまな動揺が浮かぶ。

九条雅人はその場に立ち尽くし、眉間に深い皺を刻んだ。背中をさすろうと一歩踏み出しかけた、その瞬間。

絢香が、ふらつきながらも身体を起こした。...

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