第84章 桜井陽菜の顔を叩く

「ちょうどいいところに来た!」

桜井陽菜はその場で配信を止めることもなく、すっと立ち上がってこちらへ歩いてきた。

脇にいたアシスタンが思わず声を上げる。

「えっ、桜井さん……」

いま生配信中だ。止められるわけがない。

せっかく会社が機材の調整までしてくれたのに、この人はまた何をやらかす気なのか。

桜井陽菜は細い腰をくねらせ、やけに上品ぶった笑みを浮かべる。

「みんな~、知り合いに会っちゃった。ちょっと挨拶してくるね!」

カメラはぴたりと彼女に追従し、そのまま霧島絢香を真正面から映し出した。遠慮など一切ない。

霧島絢香の顔色が、すっと冷える。

反射的に身を翻し、霧島初音を抱...

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