第92章 急いで駆けつける

だが、その瞬間。

霧島絢香は林田グループ本社、高層階の会議室にいた。

「今回のプロジェクトのすり合わせですが……」

ぶぶっ。

バッグの中でスマホが震えた。

画面に表示された名前は中村さん。

珍しい……中村さんから電話なんて。たぶん大した用じゃない。

そう判断して、いったん切る。

気を取り直し、投影された設計図へ視線を戻した。――彼女が仕上げた第3案。

指先で要点のページをなぞった、その瞬間。

ぶぶぶぶっ!

さっきより強く、執拗に震える。

……おかしい。

中村さんは九条家に長く仕える古参だ。分別がないはずがない。

それでもかけ直してくるということは――よほどの急用。...

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