第95章 子供の無邪気な言葉

霧島初音は小さな身体を霧島絢香の胸に預け、澄んだ大きな瞳をふにゃりと三日月にして笑った。その鈴のように澄んだ声に、絢香の動きがぴたりと止まる。

――あの人……。

絢香はそっと目を閉じた。胸の奥を、細い針でちくりと刺されたみたいに痛い。

視線を落とす。娘の、粉雪みたいに白くてつやつやした頬。見ているだけで、心の中が甘さと苦さでぐちゃぐちゃになる。

初音は、綺麗な人に本能的に懐く。

けれど――よりにもよって。

絶対に近づいてはいけない相手に。

絢香は喉の奥の渋みを飲み込み、できるだけ優しく、揺れない声を作った。

「初音、いい子。もうすぐ学校に行くんだよ。お友だち、たくさんできるか...

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