第99章 束の間の静けさ

九条雅人の全身から、肌を刺すような冷気が立ちのぼった。

「……今、何て言った」

ほとんど一字ずつ噛みしめるような、詰問。

桜井陽菜はその視線に射抜かれ、背筋がきゅっと縮んだ。心臓が半拍、止まった気さえする。

「雅人……ごめん。わざと言ったんじゃないの。ただ、あなたがあの人をすごく庇うから……」

九条雅人の瞳の奥を、極限まで研ぎ澄まされた冷たさが走る。

ふいに、彼はテーブル脇へ視線を投げた。

ヨガマット。食べかけのフルーツの盛り合わせ。

一つずつ、無言でなぞるように見ていく。

そして最後に、ベッドサイドの花束へ。

鮮やかすぎる色が、目に痛い。

病室の空気が、さらに重く沈ん...

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