第10章 離婚しよう

既にバレたのなら、諏訪詩織ももう隠すつもりはなかった。

彼女は力任せに手を引き抜き、一歩退く。床に落ちた離婚協議書を拾い上げ、無表情のまま長谷川遥斗へ差し出した。

「私の署名はもう済んでる。あなたもサインして。裁判所に出して」

長谷川遥斗は昏い目で彼女を見つめ、何度か深く息を吸って、胸に渦巻く怒りを押し込めた。

だが、離婚協議書には手を伸ばさない。代わりに両手で詩織の肩を押さえ、薄く笑う。声はやわらかいのに、芯が冷たい。

「詩織……冗談だよな?」

肩に食い込む力が重い。痛みに眉が寄る。それでも詩織は耐え、何も言わず、ただ氷みたいな視線を返した。

返事がないと、遥斗は奥歯を噛みし...

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