第106章 私を船に乗せたのが誰だか、当ててみろ

林田拓海はふっと笑い、それ以上は何も言わずに、胸を張ってクルーズ船へと歩いていった。

彼が去った途端、諏訪詩織の張り詰めていた神経が、ようやく少しだけ緩む。

招待状を見せて乗船してから、詩織ははっと思い出した。今夜はおそらく、長谷川遥斗と同じ部屋になる。

夫婦で、しかも連れ立って来ている以上、わざわざ別室を用意されるはずがない。

そう考えると、頭が痛くなった。

これまでは意識して避けてきた。けれど今夜、遥斗が酒でも入れたら――拒む言葉すら、喉の奥で引っかかって出てこなくなりそうだ。

眉を寄せて思案していると、正面から一人の男が近づき、笑って声をかけてきた。

「遥斗、来たのか」

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