第115章 長谷川遥斗を二度と生きられなくする

諏訪詩織が去っていく背中を見送りながら、林田美月は悔しさを噛み殺すように唇をきゅっと噛んだ。すぐに踵を返し、個室の扉を控えめにコンコンと叩く。

「――どうぞ」

気怠げな一言が返ってきた瞬間、美月の背筋が反射的に伸びた。腰を少し折って扉を開け、恭しく頭を下げる。

「夫人。昨夜は、よくお休みになれましたか」

高橋夫人はソファに斜めに身を預けたまま、淡く眉を上げた。

「あなたが持ってきた香、よく効いたわ。昨夜は久しぶりにぐっすり眠れた」

ちょうどその時、使用人がコーヒーを運んでくる。美月は慌てて受け取り、両手で差し出した。

「それは良かったです。夫人、どうぞ」

高橋夫人は気だるそう...

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