第116章 旅立ちの段取りを整える

徹夜続きで何日も無理を重ねたせいで、諏訪詩織が帰宅した頃には心も体も限界だった。いま欲しいのは、ただ眠りだけ。

鍵を開けて中へ入った瞬間、ソファに座る男の姿が目に入る。

……待ってた、の?

思わず足が止まった。

帰国してからというもの、長谷川遥斗は何日も家に寄りつかなかった。それが今日に限って、こうして突然戻っているなんて珍しい。

玄関に立ち尽くす詩織に気づくと、遥斗は笑って立ち上がり、迎えるように言った。

「おかえり。事務所、片づいたのか?」

詩織は疲れた足取りでソファまで行き、そのまま腰を下ろす。返事は短く、淡い。

「……うん」

遥斗は彼女の表情をじっと見た。綺麗な瞳の...

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