第19章 長谷川遥斗の二面性

諏訪詩織は眉をわずかに持ち上げ、相手が何を言いに来たのか察した。腕の中の猫の頭を、どこか上の空で撫でる。

――なるほどね。長谷川遥斗があんなに手早く競り落としたのは、自分の金で買ったから。しかも、かなりの高値で。

けれど、それを見せびらかされたところで、詩織の心は一ミリも揺れない。

反応がないのが癪に障ったのか、林田美月はわざと声を強めた。

「詩織さん、私の首のこの宝石のネックレス、綺麗だと思いません? 私、ほかにもたくさん持ってるんです」

諏訪詩織は淡々と「へえ」とだけ返し、眉を上げたまま言う。

「綺麗ね。でも、あなたにはもったいないわ」

冷えた声が、美月が必死に積み上げた自...

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