第26章 弱みを見せる

長谷川遥斗は足早に林田美月の病室へ向かった。

美月はベッドに腰掛け、果物をつまんでいるところだった。遥斗の姿を見た瞬間、ぱちりと目を見開き、次いで手元の果物をテーブルへ放り投げる。顔いっぱいに嬉しそうな笑みが咲いた。

頬はつややかで、病人らしい陰りはどこにもない。

その様子を見た遥斗の眉間が、ぐっと深く寄る。低く沈んだ声に冷えた棘が混じった。

「頭が痛くて具合悪いって言ってたよな。そんな元気に果物なんて食ってる余裕があるのか」

美月は遥斗が来るとは思っていなかった。さっき電話したときの曖昧な返事で、もう来ないのだと思い込んでいたのだ。

咳払いをひとつ。胸の奥に小さな罪悪感が疼き、...

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